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アカハライモリの幼生の育て方|孵化からの餌・共食い対策・上陸までを解説

外鰓を広げたアカハライモリの幼生を上から写した拡大写真
外鰓を広げたアカハライモリの幼生を上から写した拡大写真

アカハライモリの卵が孵化すると、体長1cmほどの小さな幼生が泳ぎ始めます。ここからの1~3か月が、繁殖の中でいちばん手がかかり、いちばん死なせやすい期間です。

結論からいうと、幼生育成のポイントは「ブラインシュリンプを切らさないこと」「共食いを個別管理で防ぐこと」「こまめな水換え」の3つです。筆者はこの方法で、孵化した約30匹をほぼ1匹も落とさずに上陸まで育てられました。

この記事では、孵化直後の管理、餌の種類と与え方、共食い対策、上陸が近づいたときの準備を、実際の飼育の流れに沿って解説します。産卵までの流れは前編のアカハライモリの繁殖方法を、上陸した後の飼い方は次編のアカハライモリの上陸幼体の育て方を参照してください。

目次

アカハライモリの幼生の飼育環境と共食い対策

まず、孵化した幼生をどこでどう管理するかを決めます。ここでの選択が、その後の生存率をほぼ決めます。

孵化直後は餌を与えなくてよい

孵化したばかりの幼生は、お腹に栄養(卵黄)を残しているため、すぐには餌を食べません。まだ手足はなく、外鰓(そとえら)と呼ばれるフサフサしたエラで呼吸しながら、水底でじっとしていることが多い時期です。

数日して活発に泳ぎ、目の前の動くものを追うようになったら、餌の開始タイミングです。慌てて孵化当日から餌を入れると、食べ残しで水を悪くするだけなのでやめましょう。

水はカルキを抜き、浅めに張る

幼生の飼育水は、カルキを抜いた水道水で十分です。水深は数cmの浅めにしておくと、泳ぎがまだ得意でない幼生でも水面と水底を行き来しやすく、管理も楽になります。

水温は極端な高温を避け、直射日光の当たらない場所に置いてください。夏場の小さい容器は水温が急上昇しやすいので、置き場所には特に注意が必要です。

共食い対策は「1匹ずつの個別管理」が確実

イモリの幼生は、口に入るものなら兄弟でもかじります。とくに成長に差がつき始めると、大きい個体が小さい個体の手足や外鰓をかじる事故が起こります。まとめて飼うなら、水草などの隠れ家を多くし、密度を下げるのが基本です。

ただし、確実なのは1匹ずつ容器を分けてしまうことです。筆者は孵化直後からプリンカップ大の容器に1匹ずつ分けて管理しました。共食いがゼロになるのはもちろん、「どの個体がどれだけ食べたか」を毎日確認できるのが大きな利点で、食べていない個体にすぐ気づけます。約30匹をほぼ落とさず上陸させられたのは、この個別管理によるところが大きいと考えています。

カップが30個並ぶと世話は大変ですが、1匹あたりの水量が少ないぶん水換えは一瞬です。数を多く孵化させた場合ほど、個別管理の効果は大きくなります。

透明カップに1匹ずつ分けて管理しているアカハライモリの幼生
1匹ずつカップに分けた個別管理。食べたかどうかを個体ごとに確認できる。(筆者撮影・2022年4月5日)

イモリの幼生の餌と与え方

幼生期の死因で多いのが餓死と水質悪化です。どちらも餌の管理で防げます。

最初の餌はブラインシュリンプ

餌を追い始めた幼生に最初に与えるのは、孵化させたばかりのブラインシュリンプ(小さな甲殻類の幼生)が定番です。よく動くので幼生の食欲を刺激し、サイズも口に合います。ミジンコが確保できる場合は、それも良い初期餌になります。

ブラインシュリンプは乾燥卵を塩水に入れ、エアレーションしながら28℃前後に保つと、およそ24時間で孵化します。与えるときは網やコーヒーフィルターでこし、塩分を真水で軽くすすいでから、スポイトで幼生の目の前に落とします。

毎日わかす手間はかかりますが、幼生が小さいうちはこれを切らさないことが何より重要です。乾燥卵は多めに用意しておきましょう。

少し大きくなったら冷凍アカムシへ切り替える

幼生がひと回り大きくなったと感じたら、冷凍アカムシへの切り替えを試します。筆者も「気持ち大きくなったかな」という感覚のタイミングで切り替えました。厳密な体長を測る必要はなく、口にアカムシが入るサイズになっていれば食べます。

切り替えの手順は次のとおりです。

  1. 解凍したアカムシを1本、スポイトやピンセットで幼生の目の前に落とす
  2. 食べれば切り替え成功。食べない個体にはブラインシュリンプを続ける
  3. 数日かけて全個体をアカムシへ移行する

アカムシに移行できると、ブラインシュリンプをわかす手間がなくなり、世話が一気に楽になります。個別管理をしていれば、どの個体がまだ切り替えられていないか一目で分かります。

水換えは食べ残しとセットで考える

幼生の容器は水量が少ないため、食べ残しはすぐに水を悪くします。給餌のたびに、残った餌と糞をスポイトで吸い出してください。

水換えの頻度は、筆者の場合ブラインシュリンプを与えていた時期は毎日、アカムシへ切り替えた後は2日に1回でした。ブラインシュリンプは食べ残しが水中に散らばって傷みやすいため、この時期ほどこまめな水換えが必要です。換え水は必ずカルキを抜き、水温差を小さくしてから入れましょう。

イモリの幼生の変態と上陸までの管理

順調に育つと、幼生は魚のような姿から少しずつイモリらしい姿へ変わっていきます。最後の関門が上陸です。

前足→後足の順に生えてくる

イモリの幼生は、カエルのオタマジャクシとは逆に、前足から先に生えます。孵化からしばらくして前足が生え、その後に後足が生えそろい、体長3cm前後まで育つと変態が近づいてきます。

この時期も餌のペースは落とさず、しっかり食べさせてください。体力のある個体ほど、上陸前後のいちばん危険な時期を安定して乗り切れます。

上陸のサインは外鰓の縮小

変態が近づいた幼生は、フサフサだった外鰓がだんだん小さくなっていきます。これがエラ呼吸から肺呼吸へ切り替わるサインで、上陸準備の合図です。

外鰓が縮み始めた個体をそのまま深い水に入れておくと、溺れることがあります。サインに気づいたら、次の準備をしてください。

  • 水位を体が浸かる程度まで下げる
  • 上陸できる足場を用意する

筆者は外鰓が小さくなってきた個体のカップに、陸地になるマットを敷いて上がれるようにしました。気づくとマットの上にちょこんと乗っていて、それが完全上陸の合図でした。石や浮かべた水草でも代用できますが、幼体が確実によじ登れる傾斜があるものを選んでください。

水位を下げ水草とメッシュマットの足場を入れたイモリ幼生の上陸準備容器
上陸が近い個体の容器。水位を下げ、メッシュ状のマットでよじ登れる足場を作った。(筆者撮影・2022年5月21日)

孵化から上陸までは2~3か月が目安

上陸までの期間は、水温と餌の量でかなり変わります。飼育記録では50日ほどで上陸した例から3か月以上かけた例まで幅があります。筆者の2022年の繁殖では、2月下旬に孵化した幼生が6月5日から順次上陸を始めました。およそ3か月です。

早く上陸させることが目的ではありません。よく食べさせて大きめの体で上陸させたほうが、上陸後の餌付けが楽になります。兄弟でも成長速度はバラバラなので、遅い個体がいても焦らず、個体ごとのペースで管理してください。

上陸した幼体は、飼育環境も餌もガラリと変わります。続きはアカハライモリの上陸幼体の育て方で解説します。

よくある質問

イモリの幼生はブラインシュリンプ以外でも育てられますか?

ミジンコなどの小さな生き餌でも育てられます。重要なのは「動いていて口に入るサイズ」であることです。人工飼料は動かないため、幼生のうちはほとんど反応しません。ある程度育ってからは冷凍アカムシが使えるので、初期だけ生き餌を確保してください。

幼生の共食いは防げますか?

隠れ家を増やして密度を下げれば減らせますが、完全に防ぐなら1匹ずつの個別管理が確実です。プリンカップ程度の容器で問題なく育ちます。手足や外鰓をかじられた個体は、別容器に隔離すれば再生することも多いので、諦めずに単独で管理してください。

孵化から上陸までどのくらいかかりますか?

水温と給餌量によって50日~3か月ほどと幅があります。期間そのものより、外鰓の縮小という個体ごとのサインを見て水位と足場を準備することが大切です。

幼生が餌を食べていないようです。どうすればよいですか?

まず餌のサイズと動きを見直してください。口に対して大きすぎるか、動きが少ないと反応しません。ブラインシュリンプをスポイトで目の前に落とすのがもっとも確実です。個別管理なら食べていない個体を特定できるので、その個体だけ餌を小さく戻して様子を見ます。

まとめ|イモリの幼生の育て方は餌・水・個別管理の3つ

アカハライモリの幼生育成は、「ブラインシュリンプを切らさない」「個別管理で共食いを防ぐ」「こまめな水換え」の3つを守れば、初めてでも高い生存率を狙えます。少し育ったら冷凍アカムシへ切り替えると、世話はぐっと楽になります。

終盤の関門は上陸です。外鰓が小さくなってきたら、水位を下げて足場を用意し、溺れを防いでください。上陸後の飼育はアカハライモリの上陸幼体の育て方へ続きます。

これから繁殖に挑戦する方は、前編のアカハライモリの繁殖方法から読み直してみてください。

参考資料

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