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アカハライモリの水温|適温・夏の高水温対策と冬のヒーター・冬眠

アカハライモリの水温

アカハライモリの水温は、20℃前後を中心に、夏は27℃を超えないように抑え、冬は下がりすぎた分だけ補うのが公開資料から読み取れる基本です。餌メーカーのキョーリンは「水温が27℃を超えると要注意、30℃を超えると危険」とし、両生類を診る動物病院は「適切な温度は20℃前後」「10℃以下の低温になると冬眠」としています。

この記事では、資料ごとに少しずつ違う数値を1つの表に並べ、野生のアカハライモリが実際に何℃の水で暮らしているかを学術論文から確認したうえで、夏の高水温対策・冬のヒーターの要否・冬眠させるかどうかを整理しました。

アカハライモリ(Cynops pyrrhogaster)の写真
写真: Alpsdake(Wikimedia Commons)・CC BY-SA 4.0・改変あり(リサイズ)

この記事の根拠:メーカー公式(キョーリン・GEX)、動物病院の飼育資料、査読論文、環境省・気象庁・東京消防庁の公開資料を整理したものです(2026年9月30日時点で確認)。飼育の実体験を記したものではありません。

目次

【結論】季節ごとの水温の目安とやること

季節水温の目安(出典)やること
春・秋20℃前後が適温(東浦アニマルクリニック)/18〜21℃を推奨(Caudata Culture)急な変化がないか水温計で確認。餌は通常どおり
夏27℃超で要注意・30℃超で危険(キョーリン)直射日光を避け、冷却ファンや室温管理で27℃を超えないようにする
冬10℃以下で冬眠に入る(東浦アニマルクリニック)餌は1週間に1回程度に減らす(キョーリン・東浦)。下がりすぎる部屋はヒーターで下限を支える
表1 季節別の早見表(各資料の数値をそのまま記載)

アカハライモリの適温は何℃?資料ごとの数値を比べる

「適温は◯℃」と1つの数字で書かれることが多いのですが、資料を並べると幅があります。本記事では1つに決めず、資料の数値をそのまま並べます。

資料(種別)適温・推奨高温側低温側・冬
キョーリン「アカハライモリの飼い方」(餌メーカー)記載なし27℃超で要注意、30℃超で危険。「低い水温には強いが、高い水温は苦手」冬場は食欲が落ちるので餌は1週間に1回で十分
東浦アニマルクリニック「イモリについて」(動物病院)20℃前後28℃以上の高温には弱い。30℃以上で命の危険10℃以下で冬眠。保温にパネルヒーターなどが必要な場合も
Caudata Culture(海外の有尾類飼育者団体)18〜21℃23℃を超える温度は勧めない(多くの飼育者は夏に20℃台後半でも問題なしと報告)冬に5〜8℃下げると季節変化に近づき繁殖を促す。冬眠は繁殖に必須ではないようだ
Kusano & Nakagawa(2024・査読論文)—(野外の観察)—東京都八王子市の池で、月平均水温は12〜2月に9℃未満。活動期は3〜11月
表2 資料別の水温の数値(2026年9月30日確認)

読み取れるのは次の3点です。

  • 中心は18〜21℃、または20℃前後で、2つの資料が近い値を示しています
  • 高温側の注意ラインは27〜28℃、危険とされるのは30℃以上。Caudata Culture はさらに低い23℃を上限の目安にしています
  • 低温には強いとする点で資料がそろっています。野外では真冬の水温が9℃を下回る池でも個体群が維持されています

なお、「何℃で死ぬか」という致死水温を示した一次資料は確認できませんでした。本記事では各資料の「要注意」「危険」という表現をそのまま使い、致死温度としては扱いません。

野生のアカハライモリは何℃の水で暮らしている?

飼育の目安を考えるうえで参考になるのが、野外の池での調査です。Kusano & Nakagawa(2024, Current Herpetology 43巻1号)は、東京都八王子市南大沢の東京都立大学構内の小さな池で、2016〜2017年にアカハライモリの季節ごとの活動を調べました。

  • 池の月平均水温は12月〜2月に9℃未満だった
  • 池での活動期は3月〜11月の9か月で、12〜1月に越冬していた
  • 調べた環境要因のなかで、活動に最も強く関係していたのは水温だった

下の図は、資料の数値の帯に、気象庁の東京の平年値(1991〜2020年)の月平均気温と日最高気温を重ねたものです。折れ線は気温で、水温ではありません。それでも、東京の平年値で見ると8月の日最高気温は31.3℃、月平均気温でも26.9℃と、27℃のラインに近づくことが分かります。室内の水槽は置き場所で変わるため、実際の水温は水温計で確かめてください。

アカハライモリの水温と季節の目安。30℃超は危険、27℃超は要注意、18〜21℃推奨・20℃前後が適温、10℃以下で冬眠の帯に、東京の月平均気温と日最高気温の平年値を重ねた図
図 アカハライモリの水温と季節の目安(出典: キョーリン/東浦アニマルクリニック/Caudata Culture/Kusano & Nakagawa 2024/気象庁 平年値。いきものばかり作成)

野生で見つかる環境について、環境省のいきものログは「低地から山地の水田、池、渓流、溝などで生活」と説明しています(環境省レッドリストでは準絶滅危惧)。

夏の高水温対策|27℃を超えさせない方法

資料がもっとも強く注意しているのは高温側です。キョーリンは「暑い夏は危険がいっぱい」として「冷却ファンなどの冷却装置を設置して、高水温対策をしよう」と勧めています。

置き場所を見直す

窓辺など直射日光の当たる場所は、夏場の水温管理が難しくなります。まずは日の当たらない、室温の上がりにくい場所に水槽を置いてください。陸地の作り方や水深など、水槽の中の組み立てはアカハライモリの水槽レイアウト|陸地の作り方・水深・脱走対策にまとめています。

冷却ファンは「約4℃」だが条件つき

ファンの効果はメーカー公式の仕様で確認できます。GEX「アクアレイクール レギュラー」は、気温30℃・湿度50%の条件で水温を約4℃下げる冷却力で、置き型で使うと約2℃、消費電力はAC100V時1.4Wです。メーカーは冷却力が気温・湿度・飼育条件で変わると書いています。

ファンは気化熱で冷やすため、水が蒸発して水位が下がります。足し水は温度を合わせてから入れ、ヒーターを入れたままの水槽では次の節の「空焚き」に注意してください。エアコンで室温ごと管理する方法は、水槽単体での効果を数字で比べられる公式資料が見当たりませんでした。

夏は餌の食べ残しにも注意

水温が高いと水が傷みやすくなります。食べ残しはその日のうちに取り除いてください。餌の種類ごとの水の汚れやすさはアカハライモリの餌の種類|おすすめの人工飼料・冷凍赤虫・生き餌の比較で比べています。

冬のヒーターは必要?要る条件・要らない条件

資料はそろって「低温には強い」としており、冬のヒーターを必須とする資料はありませんでした。一方で東浦アニマルクリニックは「寒すぎると冬眠に入るため」「保温のためにパネルヒーターなどが必要な場合もあります」と書いています。資料の内容から判断材料を整理すると、次のようになります。

部屋・飼い方の条件ヒーター根拠
冬も水温が10℃を大きく下回らない室内なしでも資料の範囲内低温に強い(キョーリン・東浦)
水温が10℃以下まで下がる部屋で、冬眠させたくない下限を支える目的で検討10℃以下で冬眠(東浦)
暖房の入り切りで水温が大きく上下する部屋下限の固定に使える急な変化を避ける(各資料の共通点から整理)
冬に水温を下げて繁殖を促したい使わない、または低めに設定冬に5〜8℃下げると繁殖を促す(Caudata Culture)
表3 冬のヒーターの判断表

26℃固定のヒーターはイモリ向きではない

熱帯魚用のヒーターには、電源を入れるだけで決まった温度に保つ「固定式」と、温度を設定できる「可変式」があります。GEX のシリーズ比較ページでは、固定式のスタンディオートは26℃に自動保温、可変式の NEW ヒートナビは15〜32℃に設定できます。26℃はキョーリンの「要注意」の27℃に近く、Caudata Culture の推奨(18〜21℃)より高いため、イモリに使うなら低めに設定できる可変式が条件に合います。可変式でも最低設定は15℃なので、「冷えすぎを止める」使い方になります。

空焚きによる火災に注意

東京消防庁によると、観賞魚用ヒーターの火災は平成19〜28年の10年間で54件、そのうち約6割が、水から出したまま通電した「空焚き」によるものでした。実験では通電後約3分でヒーター中心部分の表面温度が700度以上に達しています。水換えでヒーターを水から出すときは電源を切り、水位が下がってヒーターが露出しないよう確認してください。詳しい数字と対策はミナミヌマエビの水温|適温と夏の高水温対策・冬のヒーターでも整理しています。

電気代の上限はW数から計算できる

全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価は31円/kWh(税込)です。24時間通電し続けた場合の上限は「W数÷1000×24時間×31円」で、20Wなら1日約14.9円・30日で約446円になります。実際のヒーターは設定温度に達すると通電を止めるため、これより安くなります。

冬眠させるべき?させないべき?

資料の記述を並べると、「冬眠させなければならない」とも「させてはいけない」とも書かれていません。

  • 東浦アニマルクリニック:10℃以下の低温になると冬眠に入る。寒すぎる場合は保温が必要な場合もある
  • Caudata Culture:冬眠は繁殖に必須ではないようで、1年中室温で飼っていても繁殖したという飼育者の報告が多い。冬に5〜8℃下げると繁殖を促す
  • Kusano & Nakagawa(2024):野外の池では月平均水温9℃未満の冬に越冬し、3月から活動する

つまり、繁殖を狙わないなら、室内で水温を下げすぎずに冬を越す方法でも資料の範囲に収まる、というのが整理した結果です。冬は食欲が落ちるので、キョーリン・東浦アニマルクリニックとも給餌を1週間に1回程度に減らすとしています。回数の目安はアカハライモリの餌の量と頻度|肥満・太りすぎのサインと早見表、食べないときの切り分けはアカハライモリが餌を食べない・痩せる原因は?対処法と拒食からの回復を参考にしてください。

公開資料で確認できなかったこと

上位の解説記事によく書かれていても、今回確認した一次資料では裏付けが取れなかった項目です。本記事ではこれらを数値で断定しません。

  • 致死水温(「◯℃で死ぬ」という数値)
  • 飼育下で冬眠させるときの温度の手順(何℃まで・何日かけて下げるか)
  • 野外での越冬場所(水中か陸上か)。Kusano & Nakagawa(2024)では越冬期(12〜1月)の調査が行われていません
  • 幼生・上陸直後の幼体の適温(成体と分けて示した資料は見当たりませんでした)

よくある質問

水温が26℃あります。大丈夫ですか?

キョーリンの「要注意」は27℃超、東浦アニマルクリニックは28℃以上に弱いとしており、26℃はその手前です。ただし Caudata Culture は23℃を超える温度を勧めておらず、適温の中心(18〜21℃・20℃前後)からは高めです。夏に向けて上がる時期なら、置き場所の見直しや冷却ファンを早めに検討してください。

冬にヒーターなしで越冬できますか?

資料はそろって低温に強いとしており、冬のヒーターを必須とする資料はありませんでした。水温が10℃以下まで下がると冬眠に入る(東浦アニマルクリニック)ので、冬眠させたくない場合や、暖房で水温が大きく上下する部屋では、低めに設定できる可変式ヒーターで下限を支える方法があります。

冬に動かず餌も食べません。病気でしょうか?

水温が低い時期に食欲が落ちるのは、キョーリン・東浦アニマルクリニックとも冬の給餌を1週間に1回程度としていることから、季節の変化として説明されています。一方で、痩せが目立つ・皮膚に異常があるなど水温以外のサインがある場合は、両生類を診られる動物病院に相談してください。

水温計は必要ですか?

資料が示す注意ライン(27℃・30℃・10℃)は、水温を測らないと判断できません。室温と水温は置き場所によってずれるため、水槽に水温計を入れておくと、夏の上振れと冬の下振れに早く気づけます。必要な道具の一覧はアカハライモリの飼育セット完全版!初心者が用意すべき必要なものリストにあります。

まとめ|夏は27℃、冬は10℃をひとつの目印に

  • 適温の中心は18〜21℃(Caudata Culture)・20℃前後(東浦アニマルクリニック)
  • 高温に弱く、27℃超で要注意・30℃超で危険(キョーリン)。夏は置き場所と冷却ファン(公式条件で約4℃)で対策
  • 低温には強く、10℃以下で冬眠(東浦)。野外では冬の月平均水温が9℃未満の池で越冬している(Kusano & Nakagawa 2024)
  • 冬のヒーターは必須ではない。使うなら低めに設定できる可変式で下限を支え、空焚きに注意
  • 冬眠は繁殖に必須ではないとする資料もあり、繁殖を狙わないなら下げすぎない冬越しでも資料の範囲内

飼育全体の流れはアカハライモリの飼い方完全ガイドにまとめています。

参考資料

  • キョーリン, アカハライモリの飼い方(「低い水温には強いが、高い水温は苦手」「水温が27℃を超えると要注意、30℃を超えると危険」「冷却ファンなどの冷却装置を設置」、冬場の給餌は1週間に1回。2026年9月30日確認)
  • 東浦アニマルクリニック, イモリについて(「適切な温度は20℃前後」「28度以上の高温には弱く」「高温(30℃以上)になると命の危険があり、低温(10℃以下)になると冬眠します」、保温にパネルヒーターなどが必要な場合も、冬場の給餌は1週間に1回程度。2026年9月30日確認)
  • Kusano T. & Nakagawa T. (2024), Factors Affecting the Seasonal Activity of Japanese Red-Bellied Newts, Cynops pyrrhogaster (Amphibia: Salamandridae), Current Herpetology 43(1): 55-67(東京都八王子市南大沢の池、2016〜2017年。月平均水温は12〜2月に9℃未満、活動期は3〜11月の9か月。2026年9月30日確認)
  • N. Nelson, Caudata Culture Species Entry – Cynops pyrrhogaster(海外の有尾類飼育者団体の種別ページ。60-74F(18-21C)を推奨、「I cannot recommend temperatures above 74F (23C)」、冬に10-15F(5-8C)下げる、「Hibernation does not appear to be essential to breeding」。学術資料ではなく飼育者の知見。2026年9月30日確認)
  • 環境省, いきものログ「アカハライモリ」(準絶滅危惧(NT)、「低地から山地の水田、池、渓流、溝などで生活」。2026年9月30日確認)
  • 気象庁, 東京 平年値(月ごとの値)(統計期間1991〜2020年。月平均気温 1月5.4℃・8月26.9℃・12月7.7℃、8月の日最高気温31.3℃。2026年9月30日確認)
  • ジェックス(GEX), アクアレイクール レギュラー(「水温を約4℃下げる冷却力」=気温30℃・湿度50%の条件、置き型使用時は約2℃、AC100V 1.4W。2026年9月30日確認)
  • ジェックス(GEX), GEX製ヒーター シリーズ比較/NEW セーフカバー ヒートナビ 120(スタンディオートは26℃に自動保温、NEW ヒートナビは15〜32℃に設定可能。2026年9月30日確認)
  • 東京消防庁, 観賞魚用ヒータの取扱いに気をつけて!(平成19〜28年の10年間で54件、約6割が空焚き。「通電後の約3分にはヒータ中心部分の表面温度が700度以上に達しました」。2026年9月30日確認)
  • 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会, よくある質問 Q&A(目安単価31円/kWh(税込)、令和4年7月22日改定。2026年9月30日確認)

※本記事は、メーカー公式・動物病院の資料・査読論文・公的機関の公開資料を整理したものです。飼育の実体験を記したものではありません。製品の仕様は変更されることがあるため、購入前に各メーカーの製品ページをご確認ください。

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