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カナヘビの飼育|餌・飼い方・寿命と冬越しを資料で整理

カナヘビの飼育|餌・飼い方・寿命と冬越しを資料で整理

カナヘビ(ニホンカナヘビ)は、北海道・本州・四国・九州に広く分布する日本固有のトカゲです。名前に「ヘビ」と付きますがトカゲの仲間で、草むらや藪、人家の庭先といった開けた場所にすんでいます。飼うときに押さえたいのは、紫外線(UV)ライトと日光浴の代わりになる明かり、小さな虫と昆虫原料の人工飼料を中心にした餌、冬の過ごし方の3つです。

資料によって値が違うものは並べて書き、公的な資料などで確かめられなかった項目は「資料なし」と書いています。

ニホンカナヘビ(Takydromus tachydromoides)の写真。葉の上にいる褐色の個体で、体の倍ほどある長い尾が見える
写真: heikindai_87(iNaturalist/Wikimedia Commons)・CC0・改変あり(リサイズ)

この記事の根拠:キョーリンの飼育ガイド、国土交通省 天竜川上流河川事務所の生物資料、埼玉県・東京都のレッドデータブック/レッドリスト、環境省の資料、J-STAGE で公開されている研究論文を整理したものです(2026年10月6日確認)。カナヘビの飼育の実体験を記したものではありません。

目次

【結論】カナヘビ飼育の早見表

知りたいこと資料で分かること出典
どんな生き物?カナヘビ科の日本固有種。北海道・本州・四国・九州と周辺の島に分布キョーリン/Reptile Database
大きさ全長160〜270mm、頭胴長50〜70mm、体重2〜8g。しっぽは体の約2倍国交省 天竜川上流/キョーリン
寿命約7年(国交省の資料)。「10年程度」とする図鑑もある国交省 天竜川上流/Honda 生きもの図鑑
必要なもの静かに開け閉めできるケース、紫外線ライト、バスキングライト、浅い水入れ、ハスクチップなどの床材、シェルターキョーリン
餌野外ではクモと昆虫が中心。飼育下では人工飼料を3〜4日に1回、食べなければミルワームや活コオロギで慣らすMinobe 1927/キョーリン
冬野外では10月末〜11月ごろから冬眠し、4月末〜5月ごろに出てくるMinobe 1927/Honda 生きもの図鑑
飼育の適温数字で示した公的・学術・メーカーの資料は確認できず—
法律ニホンカナヘビは国内希少野生動植物種ではない。ただし近縁のミヤコカナヘビ・サキシマカナヘビは指定種で、捕獲や譲渡しが原則禁止環境省
表1 カナヘビ飼育の早見表(2026年10月6日確認)

このページはカナヘビの記事の入口です。今後、餌、冬越し、飼育ケースとレイアウト、卵と繁殖の詳しい記事を追加し、このページから案内していきます。

カナヘビとは|大きさ・寿命・分布を資料で比べる

カナヘビの正式な和名はニホンカナヘビ、学名は Takydromus tachydromoides、英名は Japanese Grass Lizard です。爬虫類の学術データベース Reptile Database は、分布を北海道・本州・四国・九州と、対馬・屋久島・佐渡島・トカラ列島の中之島などとしています。

すみかについて、キョーリンの飼育ガイドは「平地の草むらや藪、山地、人家の庭先など、開けた場所」と説明しています。1927年に東京帝国大学の研究者が発表したカナヘビの食性の報告(Minobe 1927)には、晴れた日に出てきて日なたで休み、雨や曇りの日は石などの下にとどまる、と書かれています。

項目資料の値出典
全長160〜270mm/約20cm/16〜27cm国交省 天竜川上流/Minobe 1927/Honda 生きもの図鑑
頭胴長(しっぽを除く)50〜70mm/5〜7cm国交省 天竜川上流/埼玉県RDB 2018
体重2〜8g国交省 天竜川上流
1回に産む卵の数2〜6個/2〜9個/平均3.0〜4.2個国交省 天竜川上流/Minobe 1927/竹中 1981
孵化までの日数約30日(28℃一定)/約42日/約2か月Okuyama ほか 2021/Minobe 1927/Honda 生きもの図鑑
生まれた子の大きさ全長約61mm/5〜6cmMinobe 1927/Honda 生きもの図鑑
寿命約7年/10年程度国交省 天竜川上流/Honda 生きもの図鑑
表2 カナヘビの大きさ・繁殖・寿命の資料値(資料ごとに併記)

寿命は、国土交通省 天竜川上流河川事務所の資料が「約7年」、Honda の生きもの図鑑(長崎大学の教員が監修)が「10年程度と考えられている」と書いていて、一致していません。埼玉県のレッドデータブックも爬虫類について「野生下の寿命は判明していない種も多く」と書いています。年数は目安と考えてください。

カナヘビとトカゲの違い|見分け方と飼い方の差

庭や公園で見かける小さなトカゲは、カナヘビのほかにニホントカゲ(東日本ではヒガシニホントカゲ)の場合があります。キョーリンの飼育ガイドは、両者の違いを次のようにまとめています。

見るところニホントカゲニホンカナヘビ
皮膚つるつる、テカテカカサカサ。キールと呼ばれる筋がある
体型・しっぽずんぐり。しっぽは体と同じくらい細い。しっぽは体の約2倍
舌先が分かれていない先が2つに分かれている
オスの婚姻色のどが赤くなるおなかが黄色くなる
卵土の中で卵を守る卵を産んだらお別れ
表3 ニホントカゲとニホンカナヘビの違い(出典: キョーリン「ニホントカゲ・ニホンカナヘビの飼い方」)
石の上のニホンカナヘビ(Takydromus tachydromoides)。背中の鱗に縦の筋(キール)が並び、つやのないカサカサした肌に見える
写真: Se Lena(iNaturalist/Wikimedia Commons)・CC BY 4.0・改変あり(リサイズ)

飼い方に関わるのは最後の行です。カナヘビの親は卵の世話をしないので、飼育下で見つけた卵は親と別に管理します。

飼育に必要なもの|ケース・紫外線ライト・床材

用品選び方・使い方理由(資料の説明)
ケース市販のプラケースでも飼える。扉式など開け閉めが静かで簡単なものが便利フタの開け閉めで音が鳴ると、びっくりして餌を食べにくくなる
紫外線(UV)ライト必要紫外線で作られるビタミンDが、骨に必要なカルシウムの吸収を助ける
バスキングライトあるほうが望ましい光を浴びて体温を上げると、食欲が上がり、脱皮不全の予防になる
水入れ溺れない程度に浅いもの。毎日交換水分補給のため、きれいな水を保つ
床材ハスクチップやバークチップが最適。爬虫類ソイルも使えるが、粒が細かいものは避ける細かい粒は餌と一緒に飲み込むおそれがある
シェルター隠れ家を入れる臆病な性質のため
人工水草入れておく体をこすり付けて脱皮の手助けに使うことがある
表4 カナヘビの飼育に必要なもの(出典: キョーリン「ニホントカゲ・ニホンカナヘビの飼い方」)

ケースの大きさや温度を数字で示した公的・学術・メーカーの資料は見つかりませんでした。数字を作らずに言えるのは、ライトで温まれる場所と、シェルターで隠れられる場所を両方つくることです。ライトの組み合わせ方は、別の種向けですがニシアフにUVBライトは必要?照明と保温器具の選び方に手順をまとめています。

カナヘビの餌|何を食べる?頻度と食べないとき

野外ではクモと小さな昆虫が中心

Minobe(1927)はカナヘビ80匹の胃の中身を調べ、食べ物はすべて動物で、大部分がクモと昆虫だったと報告しています。小さなクモや昆虫を好む傾向があり、甲殻類を食べていた例も1つありました。国交省 天竜川上流河川事務所の資料も「主に昆虫、クモ類を食べる」としています。

飼育下で与えられている餌

餌資料での扱い出典
昆虫原料の人工飼料(ゲル・ドライ)キョーリンは自社のレオパゲル・レオパドライを挙げている。ドライは半分に割ってふやかし、ピンセットで目の前で振ると食いつきやすいキョーリン
ミルワーム・活コオロギ人工飼料をどうしても食べないときに与え、ピンセットからの給餌に慣らすキョーリン
ハエの幼虫(サシ)4〜11月に餌として与えて飼育した研究がある石原 1975
トンボ・カゲロウ・ミミズ飼育実験で食べた(トンボ・カゲロウは一部をちぎったもの)。飼育下では野外より大きな虫も食べたMinobe 1927
アリ・ゴキブリ・ムカデやヤスデの仲間においの強いものを嫌う傾向があったMinobe 1927
死んだ虫ほとんど食べなかったMinobe 1927
表5 カナヘビの餌の種類と資料での扱い(2026年10月6日確認)

表から分かるのは、動いている虫には反応しやすく、死んだ虫はほとんど食べないということです。キョーリンが人工飼料をピンセットで目の前で振って見せる与え方をすすめているのも、この性質に合っています。餌用の昆虫の扱い方(大きさの選び方、カルシウム剤の考え方)は、ニシアフの餌は何がいい?が別の種向けですが参考になります。

頻度と量|夏と秋で大きく変わる

キョーリンは人工飼料を3〜4日に1回与えるとしています。一方、石原(1975)が4〜11月にカナヘビを飼育して食べた量(餌に含まれる窒素の量)を測ったところ、7月が最大、10月が最小で、その差は約5倍でした。食べる量は気温との相関が高く、11月は「生理的に冬眠にはいっている」と書かれています。季節によって食べ残しが出るのは自然な変化です。

食べないときに確かめること

  • ふたの開け閉めの音など、驚かせる要因がないか(キョーリン)
  • バスキングライトで体を温められる場所があるか(キョーリン)
  • 人工飼料に慣れていないなら、ミルワームや活コオロギでピンセット給餌に慣らす(キョーリン)
  • 秋に入っていないか。飼育実験でも10月は食べる量が最も少なかった(石原 1975)

それでも長く食べない、やせてきた、動きがおかしいといったときは、病名を自分で判断せず、爬虫類を診られる動物病院に相談してください。

カナヘビの1年と冬越し

カナヘビの1年の図解。東京近郊の観察(1927年)では10月末から4月末〜5月初めまで冬眠。生きもの図鑑では見られる時期は4〜11月。産卵は長野県の河川の資料で3〜5月に始まり8月初旬まで、茨城県の調査では年長の雌が4〜7月に最大3回。飼育実験で食べた量は7月が最大、10月が最小で約5倍の差。孵化までの日数は28℃一定で約30日、観察で約42日、図鑑で約2か月
図 カナヘビの1年と孵化までの日数(出典は図中に記載。いきものばかり作成)

野外のカナヘビは冬眠します。Minobe(1927)は東京近郊の河原で、10月末ごろに冬眠に入り、4月末か5月初めまで続くと書いています。Honda の生きもの図鑑は、見られる時期を4〜11月とし、11月ごろに地中に潜って越冬すると説明しています。

一方で、飼育下で冬眠させる方法や温度を示した公的・学術資料は見つかりませんでした。冬眠させるかどうかは、冬越しの記事で整理する予定です。冬もヒーターを使う場合の電気代の計算方法は、冬のニシアフ飼育|保温方法・電気代・停電対策で消費電力から見積もる手順をまとめています。

卵を産んだら|産卵数と孵化までの日数

カナヘビは卵を産む爬虫類です(Reptile Database)。Minobe(1927)によると、交尾のおよそ12日後に、植物の根元の地面に2〜9個の卵を産み、卵は必ず土で覆われていました。卵は水分を吸って日ごとに大きくなり、産卵から42日目ごろに孵化しています。Okuyama ほか(2021)の研究では、28℃一定で管理した卵が約30日で孵化しました。日数は温度で変わると考えておきましょう。

茨城県での竹中(1981)の調査では、前の年に生まれた雌でも頭胴長41mm以上なら成熟していると判定され、6〜7月に1〜2回、平均3.0個を産むと考えられました。年長の雌は4〜7月に繁殖し、最大3回分の証拠があり、平均の卵数は1回目4.2個、2・3回目4.0個でした。オスとメスを一緒に飼うと、生まれた翌年から卵が出てくる可能性があるということです。

カナヘビを捕まえて飼う前に|法律・条例と「放さない」

ニホンカナヘビは、種の保存法の「国内希少野生動植物種」には指定されていません(環境省の一覧で、カナヘビ科の指定はサキシマカナヘビとミヤコカナヘビの2種。2026年10月6日確認)。ただし場所によって次のルールがあります。

  • 国立・国定公園の特別保護地区では、すべての動物の捕獲等が自然公園法で禁止されています。自然公園法で禁止されていなくても、ほかの法令や地方公共団体の条例で禁止されている場合がある、と環境省は注意しています
  • 都道府県のレッドリストに載っている地域があります。東京都レッドリスト(本土部)2020は絶滅危惧Ⅱ類(VU)で、区部は前回のVUから絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)に引き上げられました(原因として、雑草が放置された場所と餌の昆虫の減少を挙げています)。埼玉県レッドデータブック2018は、県南部・東部での生息適地の減少と分断から「地帯別危惧(RT)」として初めて掲載しています
  • レッドリストに載ること自体で捕獲規制などの法的効果が生じるわけではない、と環境省のいきものログは説明しています。ただし条例で別に定めている場合があるので、捕まえる地域の都道府県・市区町村の自然保護担当で確認してください

もうひとつ大切なのが、飼えなくなっても別の場所に放さないことです。環境省は、日本の在来種でも、もともといなかった地域に持ち込まれると「国内由来の外来種」になると説明し、外来種被害予防三原則の「捨てない」には「逃がさない・放さない」が含まれるとしています。捕まえる数は、最後まで世話できる数にとどめましょう。採集のルールの調べ方は、イモリの例ですがアカハライモリの採集は禁止?条例指定の県と採集の方法も参考になります。

ミヤコカナヘビ・サキシマカナヘビとの違い|緑色のカナヘビに注意

日本には、ニホンカナヘビのほかにもカナヘビ属の仲間がいます。とくに宮古諸島のミヤコカナヘビと、八重山諸島のサキシマカナヘビは国内希少野生動植物種で、環境省によると、販売・頒布目的の陳列・広告、譲渡し、捕獲・採取、殺傷・損傷、輸出入などが原則として禁止されています。環境省の第5次レッドデータブックの解説から、見分けの手がかりを並べました。

種分布見た目・大きさ環境省 第5次RL国内希少種
ニホンカナヘビ北海道・本州・四国・九州と周辺の島褐色系。全長160〜270mm種別解説なし(爬虫類の解説63件を確認)指定なし
ミヤコカナヘビ宮古諸島(多良間島・水納島を除く)背面が鮮やかな緑色。頭胴長45〜65mm、尾はその3〜3.5倍絶滅危惧ⅠB類(EN)指定(平成28年3月)
サキシマカナヘビ八重山諸島の石垣島・西表島・黒島・小浜島鮮やかな緑色で目の前後に黒い筋。全長250〜320mm絶滅危惧Ⅱ類(VU)指定(令和2年2月)
アオカナヘビトカラ列島の宝島から奄美諸島・沖縄諸島緑色(メスは若草色)で、頭の横から腹の横まで細い白い筋。全長200〜300mm準絶滅危惧(NT)指定なし
アムールカナヘビ国内では対馬のみニホンカナヘビに似た褐色に暗い斑模様、側面に白い縦筋。全長185〜250mm絶滅危惧Ⅱ類(VU)指定なし
表6 日本のカナヘビ属5種の比較(出典: 環境省 第5次レッドデータブック〈戸田守 2026・竹中践 2026〉、国内希少野生動植物種一覧、国交省 天竜川上流。2026年10月6日確認)

注意したいのは2つです。ひとつは南西諸島の緑色のカナヘビで、ミヤコカナヘビの解説には「ペット販売を目的とした違法採集の影響」が減少要因として挙げられています。もうひとつは対馬で、アムールカナヘビは色がニホンカナヘビに似ているうえ、長崎県のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類です(環境省 第5次RDB)。爬虫類の売買と法律の関係は爬虫類イベントはなくなる?2026年の規制と中止の現状でも整理しています。

よくある質問

カナヘビの寿命は何年ですか?

資料により「約7年」(国交省 天竜川上流)と「10年程度」(Honda 生きもの図鑑)に分かれます。野生下の寿命がはっきりしない爬虫類は多く(埼玉県RDB)、年数は目安です。

カナヘビの値段はいくらですか?

販売価格を示した公的資料・メーカー資料は今回見つからなかったため、この記事では金額を書いていません。緑色のカナヘビを見かけたら、国内希少野生動植物種のミヤコカナヘビ・サキシマカナヘビではないか、種名を確かめてください。この2種は譲渡しが原則禁止です(環境省)。

何匹かを一緒に飼えますか?

多頭飼いの適正な匹数を示した資料は見つかりませんでした。Minobe(1927)では、空腹の大人どうしは攻撃し合わなかった一方、同じケースの子を大人が食べた例がごくまれにありました。子は親と分けて育てるのが安全です。

しっぽが切れてしまいました。また生えますか?

キョーリンは、しっぽをつかむと切れてしまうことがあり、時間をかけてある程度は再生すると説明しています。持つときはしっぽをつかまないようにしてください。傷口が気になるときは、自分で処置せず動物病院に相談しましょう。

同じ庭先で見かけるニホントカゲ(科が違う)の飼い方はニホントカゲの飼育方法|餌・寿命・ヒガシニホントカゲとの違いにまとめています。

まとめ|光・動く小さな餌・冬と法律の確認

  • 日本固有のトカゲ。全長160〜270mm、寿命は約7年〜10年程度と資料で幅がある
  • 静かに開け閉めできるケース、紫外線ライトとバスキングライト、浅い水入れ、シェルターをそろえる(キョーリン)
  • 餌は野外ではクモと昆虫。飼育下では人工飼料を3〜4日に1回、動かして見せる。死んだ虫はほとんど食べない
  • 食べる量は7月が最大、10月が最小
  • ニホンカナヘビの捕獲は全国一律の禁止ではないが、公園・条例・レッドリストを確認し、別の場所に放さない
  • 緑色のミヤコカナヘビ・サキシマカナヘビは国内希少種で、捕獲・譲渡しが原則禁止

同じトカゲの仲間ではアカメカブトトカゲの飼い方も掲載しています。

参考資料

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