アカハライモリを自分で捕まえてみたい、と思ったことはありませんか?
田んぼや池のほとりで赤いお腹をひらめかせながら泳ぐ姿は、子どもだけでなく大人のアウトドア好きにとっても魅力的な光景です。
この記事では、アカハライモリの捕獲・採集方法を基礎から丁寧に解説します。
見つけやすい場所や採集に向いた時期はもちろん、採集を行ううえで必ず知っておきたい法律・条例の注意点についても詳しく説明しているので、初めての方でも安心して読み進めてください。
【結論】アカハライモリの採集は禁止?——全国一律の禁止はなく「場所」と「県」で決まる
先に結論です。アカハライモリを国全体で捕獲禁止にしている法律はありません。環境省レッドリストの「準絶滅危惧(NT)」は評価であって規制ではないためです。禁止になるのは、①種を指定した条例がある県(2026年9月時点で埼玉県・愛知県)、②国立公園の特別保護地区など採集が規制された区域、③私有地・田んぼへの無断立ち入りの3つのケースです。
| 確認項目 | 現状(2026年9月6日時点) | 採集できる? |
|---|---|---|
| 国の法律(種の保存法) | アカハライモリは指定されていない | 法律上の一律禁止はなし |
| 環境省レッドリスト | 準絶滅危惧(NT)=評価であり規制ではない | 採集自体は違法にならない |
| 都道府県の条例(種指定) | 埼玉県・愛知県が指定(環境省「いきものログ」の都道府県条例情報より) | この2県では禁止・要許可 |
| その他の都道府県(大阪・東京・京都など) | アカハライモリを個別に指定した条例なし(同上で確認) | 区域と土地のルールを守れば可 |
| 国立公園の特別保護地区・自然環境保全地域 | 動植物の採取が規制される | 禁止 |
| 田んぼ・用水路・私有地 | 所有者・管理者の許可が必要 | 無断立ち入りは不可 |
「アカハラ イモリ 採集禁止」と検索して不安になった方は、まず自分の県が条例で指定しているかとその場所が保護区域・私有地でないかの2点を確認してください。条例の最新状況は各都道府県の環境部局の公表資料で必ず確認を(条例は改正されます)。詳しい根拠は記事末尾の「法律・禁止事項まとめ」で解説しています。
この記事は「アカハライモリの飼い方」シリーズの一部です。水槽・餌・環境づくりの全体像は完全ガイドにまとめています。
▶ アカハライモリの飼い方完全ガイド
アカハライモリを捕獲・採集する前に知っておきたい基礎知識

アカハライモリとはどんな生き物か
アカハライモリ(学名:Cynops pyrrhogaster)は、日本固有の有尾両生類です。
本州・四国・九州に広く分布しており、水田(田んぼ)や水路、池、沼など水辺の豊かな環境を好みます。
名前の通り、腹側が鮮やかな赤〜朱色をしていて、その模様は個体ごとに異なります。
背面は黒褐色でつやがあり、動きはゆっくりとしているため、初めて採集を試みる方にとっても比較的捕まえやすい生き物です。
テトロドトキシン(フグと同じ毒)を皮膚に持つため、採集後は必ず手を洗い、目や口を触らないように注意しましょう。
なお、アカハライモリは国内だけでなく国際的にも注目されており、IUCNのレッドリストでは2020年の評価見直しにより「近危急種(NT)」に分類されています。IUCNはペットとしての採集・取引がその個体数に影響を与えていると指摘しており、持続可能な形で自然と関わることの重要性は、世界的な観点からも共通認識となっています。(参考:IUCN Red List – Cynops pyrrhogaster)
捕獲・採集を始める前に必ず確認すべきこと
アカハライモリの採集は、全国一律に禁止されているわけではありません。
しかし、地域によっては都道府県の条例によって捕獲が禁止または制限されている場合があります。
採集に出かける前に、必ず以下の点を確認してください。
- お住まいの都道府県・市区町村の「希少野生動植物保護条例」を調べる
- 採集予定地が国立公園・国定公園・自然保護区の区域内でないか確認する
- 私有地や農地(田んぼ)に立ち入る場合は、必ず土地所有者の許可を得る
特に、東京都・神奈川県・大阪府など都市部では、条例による捕獲禁止・規制が設けられているケースがあるため、事前確認は必須です。
知らなかったでは済まない問題になりますので、面倒でも必ず事前リサーチを行いましょう。
アカハライモリが見つかる場所

田んぼ・水田周辺
アカハライモリの採集場所として、最も身近で実績が高いのが田んぼ(水田)とその周辺水路です。
特に山間部や農村地帯の田んぼは、農薬の使用が少ない傾向があり、イモリにとって生息しやすい環境が整っています。
水が張られた春から初夏の田んぼでは、水面をゆっくりと泳ぐ姿や、畦道のぬかるみで動き回る個体を見かけることがあります。
ただし、田んぼはほぼ例外なく私有地です。
必ず農家や土地所有者の方に声をかけ、立ち入りの許可を得てから採集するようにしてください。
無断での立ち入りは不法侵入にあたる可能性があるため、絶対に避けましょう。
池・沼・ため池
農業用のため池や、山里にある小さな池・沼もアカハライモリが多く生息する場所です。
水草が豊富で、日当たりが適度にある場所を好みます。
石や倒木の陰、落ち葉が積もった浅瀬の底などに身を潜めていることが多いため、そのようなポイントを重点的に探すと見つかりやすくなります。
水路・用水路
農村地帯を流れる緩やかな用水路や、流れの穏やかな小川も有力な採集スポットです。
コンクリートで固められた直線的な水路よりも、土の護岸が残った昔ながらの水路のほうが個体数は多い傾向があります。
山間部の湧き水スポット
湧き水が流れ込むような冷たくきれいな水辺にも生息が確認されています。
清流沿いよりは、水の流れがほとんどない止水域を好むため、湧き水が溜まったような窪地や水たまりを探すのが効果的です。
アカハライモリの採集に適した時期

春(3月〜5月)が最もおすすめ
アカハライモリの採集に最も適した時期は春、特に3月下旬から5月にかけてです。
冬眠から目覚めたイモリが繁殖のために水辺に集まる季節であり、個体数・活動量ともに最も多くなります。
水温が上がり始める4月〜5月は、日中でも水面近くを泳いでいる個体を多く見かけるため、初心者でも採集しやすい時期です。
夏(6月〜8月)
梅雨の時期から夏にかけても採集は可能です。
ただし、夏の日中は水温が上がりすぎるため、イモリは日陰の石の下や水草の茂みに身を潜めていることが多くなります。
早朝や夕方に活動量が増えるため、採集は気温の低い時間帯を狙うのがコツです。
秋(9月〜10月)
秋も採集は可能ですが、気温が下がるにつれて活動が鈍くなります。
10月以降は徐々に冬眠の準備を始めるため、見つかる個体数は春に比べて少なくなります。
冬(11月〜2月)は採集困難
冬場のアカハライモリは落ち葉の下や石の隙間で冬眠状態に入るため、採集はほぼ困難です。
無理に石を動かしたり、冬眠中の個体を採集するような行為は、個体への強いストレスになるため避けましょう。
アカハライモリの捕獲・採集方法

手で直接つかまえる
動きがゆっくりなアカハライモリは、浅い水辺であれば素手でも捕まえられます。
水の中をよく観察してイモリを見つけたら、焦らずゆっくりと手を近づけ、やさしくすくい上げるようにつかみましょう。
強く握ると体を傷つけてしまうため、手のひらで包むように持つのがポイントです。
また、前述のようにアカハライモリは皮膚に毒を持つため、捕まえた後は必ず石けんで手をよく洗ってください。
毒の強さがどの程度なのか、万一症状が出たときにどうするかはアカハライモリの毒(テトロドトキシン)の強さと触った時の症状で詳しくまとめています。
タモ網(玉網)を使った採集
より確実に捕獲したい場合は、タモ網(玉網)を使うのがおすすめです。
水草の茂みや石の下にタモ網を差し入れ、イモリを追い込むようにして掬い取ります。
網目が細かいもの(1〜2mm程度)を選ぶと、小さな個体も逃がさずに済みます。
水辺での採集は足元が滑りやすいため、長靴やウォーターシューズを着用し、子どもと一緒に行く場合は大人が常にそばで見守ることが大切です。
ペットボトルトラップ(置き網式)を使う方法
ペットボトルや市販のミニトラップを使う方法もあります。
ペットボトルの上部を切り取って逆向きに差し込み、えさ(赤虫や小魚など)を入れて水中に沈めておくと、入り込んだイモリが自然に採集できます。
ただし、トラップを仕掛ける場合は場所によって地方条例や漁業権の問題が生じるケースがあるため、事前に必ず確認してください。
また、トラップを設置した後は忘れずに回収し、イモリが長時間閉じ込められたままにならないよう注意しましょう。
採集後の持ち帰り・飼育準備
持ち帰りに必要な道具
採集したアカハライモリを安全に持ち帰るには、以下の道具があると便利です。
- プラケース(プラスチック製飼育ケース):密閉できるふた付きのものを選ぶ
- 虫かご:通気性が高く、短距離の移動には使いやすい
- ビニール袋+保冷剤:夏場の移動時に水温を上げすぎないために使用
採集現場の水を少し入れた容器に移し、イモリに必要以上なストレスをかけないようにしてください。
持ち帰る個体数について
採集はあくまで生き物との関わりを楽しむ体験です。
必要以上に多くの個体を持ち帰ることは、地域の生態系に影響を与えることがあります。
観察・飼育に必要な最小限の数にとどめ、残りはその場でリリースするようにしましょう。
採集したアカハライモリは、正しく飼えば長く付き合うことになります。飼育下では20年を超える例が珍しくなく、検証された記録では40年以上生きた個体もいます。何年生きるのか、長生きした個体がどう飼われていたかはアカハライモリの寿命は何年?長生きさせる飼い方と老化のサインにまとめました。
アカハライモリの捕獲に関する法律・禁止事項まとめ
種の保存法について
アカハライモリは、現時点(2025年時点)では国の「種の保存法」による国内希少野生動植物種には指定されていません。
そのため、国レベルでの捕獲禁止措置は現在のところ設けられていませんが、今後の指定状況は変わる可能性があります。
ただし、環境省が公表する「環境省レッドリスト(いきものログ・アカハライモリ)」においては、アカハライモリ(ニホンイモリ)は準絶滅危惧(NT)に分類されています。これは「現時点での絶滅危険度は低いが、生息条件の変化によっては絶滅危惧に移行する可能性がある種」として位置づけられていることを意味します。種の保存法の対象外であっても、決して安定した個体数とは言えない状況であることを念頭に置いておきましょう。
最新の指定状況は環境省のウェブサイトで随時確認するようにしてください。
都道府県条例による禁止・規制
問題になりやすいのが、都道府県レベルの条例による規制です。
アカハライモリを希少野生動植物として条例で指定し、捕獲・販売・譲渡を禁止・制限している都道府県があります。環境省いきものログのアカハライモリのレッドリスト・レッドデータブック情報には「保護に係る法令指定状況」として都道府県条例指定種【埼玉県・愛知県】と記載されています(令和7年度末時点)。この2県で採集を考えているなら、着手前に県の自然保護担当窓口へ確認してください。
ただし、条例の指定がない県なら自由に採ってよい、という意味ではありません。同じページの都道府県レッドリスト掲載状況(令和6年度末時点)を数えると、35の都府県がアカハライモリを掲載しています。千葉県は最重要保護生物(A)、埼玉県と東京都(区部)は絶滅危惧ⅠA類(CR)、神奈川県は絶滅危惧Ⅰ類、群馬県・山梨県・福岡県は絶滅危惧Ⅱ類(VU)、大阪府・京都府・兵庫県・広島県などは準絶滅危惧や要注目種にあたります。レッドリストへの掲載そのものに採集を禁止する法的効力はありませんが、その地域の個体群が減っているという公的な評価であることに変わりはありません。
そもそも環境省が本種を準絶滅危惧(NT)と判定した理由の一つが「③過度の捕獲・採取圧による圧迫を受けている」という項目です。その判断理由には「インターネットサイトなどでは、野外で採集された個体が100個体単位で、大量に安価に販売されている事例がかなりの頻度で見られ、高い捕獲圧による圧迫を受けている」と書かれています。条例で禁止されていない地域であっても、持ち帰る数を観察・飼育に必要な最小限にとどめる根拠がここにあります。
自分が採集を予定している地域の条例については、各都道府県の環境部局や自然保護担当窓口に問い合わせるか、公式ウェブサイトで必ず確認してください。
「自分の地元だから大丈夫だろう」という思い込みが、思わぬ条例違反につながることがあります。
国立公園・自然保護区内での採集は原則禁止
国立公園や国定公園の特別保護地区、自然保護区に指定されたエリアでは、植物・動物を問わず採集行為が原則として禁止されています。
自然公園法に基づくこれらの規制に違反した場合、罰則が科せられることもあります。
環境省の公式案内によれば、特別保護地区では昆虫を含むすべての動物の捕獲・殺傷が自然公園法により禁止されており、学術研究など公益上の理由がある場合に限り、事前に環境大臣または都道府県知事の許可を得ることで実施できるとされています。アカハライモリの採集が目的であっても例外はなく、知らずに立ち入ると法令違反になる可能性があります。公園区域の確認は環境省「国立・国定公園内における動物の保護対策について」または各都道府県の窓口で行えます。
アウトドアを楽しむ際には、その場所が保護区域に含まれていないかを事前に確認する習慣をつけることが大切です。
農地・私有地への無断立ち入り禁止
田んぼや農地、池のほとりは、そのほとんどが私有地または農業組合・自治体が管理する土地です。
許可なく立ち入り、採集を行うことは不法侵入・窃盗にあたる可能性があります。
採集を行う際は必ず土地管理者・所有者に事前許可を取るようにしましょう。
採集だけでなく、イベントやお店での売買にも法令の規制があります。アカミミガメ(2023年6月1日から)などの実例と、主催者が野生個体の取り扱い自粛を求めている生き物は爬虫類イベントはなくなる?2026年の規制と中止の現状にまとめました。
まとめ
アカハライモリの捕獲・採集は、ルールを守れば子どもから大人まで楽しめる自然体験のひとつです。
この記事のポイントを整理します。
採集場所については、田んぼや用水路、ため池、山間部の止水域などが有力です。
採集時期は、冬眠明けの春(3月下旬〜5月)が最も個体数が多く、初心者にも向いています。
採集方法は、素手・タモ網・ペットボトルトラップなど状況に応じて選び、プラケースや虫かごで安全に持ち帰りましょう。
法律・禁止事項については、国の種の保存法だけでなく、環境省レッドリストで準絶滅危惧種に指定されている現状、都道府県条例、自然公園法、私有地への無断立ち入り禁止など、複数の観点から事前確認が必要です。
自然の中でアカハライモリと出会う体験は、生き物への興味や環境への意識を育てる素晴らしい機会になります。
ルールとマナーをしっかり守りながら、安全で楽しいフィールドワークを楽しんでください。

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