アカハライモリが元気をなくしたり、皮膚に異変が生じたりしたとき、飼い主として最初に感じるのは「これは病気なのか、それとも一時的なものなのか」という不安ではないでしょうか。
アカハライモリは丈夫な生き物というイメージがありますが、飼育環境が適切でない場合や、外部から持ち込まれた病原体によって、さまざまな病気を発症することがあります。
この記事では、アカハライモリがかかりやすい代表的な病気とその症状を網羅的にまとめ、動物病院での治療の流れや日頃からできる予防法まで丁寧に解説します。
「アカハライモリ 病気」で検索してこのページにたどり着いた方が、愛するイモリの異変に素早く気づき、適切な対処ができるよう、ピラーコンテンツとして情報を整理しましたので、ぜひ最後までお読みください。
アカハライモリが病気になるサインを見逃さないために

健康なアカハライモリの状態を知ることが基本
病気のサインを見抜くためには、まず健康な状態を正確に把握しておくことが大前提です。
健康なアカハライモリは、活発に水中を泳いだり、陸地に上がって休んだりという自然なサイクルを繰り返しています。
餌への反応も良く、赤虫やイモリ専用の人工飼料などを与えると、すぐに興味を示して食べに来るのが通常の状態です。
皮膚はしっとりとした光沢があり、体表に変色や潰瘍・ただれといった異常は見られません。
腹部のオレンジ色の斑紋は、毒素を持つことを示すもので、これが鮮やかであることも健康のひとつの指標です。
病気を疑うべき主なサイン
以下のような変化が見られた場合は、何らかの病気や健康上の問題が起きているサインである可能性が高いため、注意深く観察してください。
- 餌を食べなくなる(食欲不振)
- 動きが極端に鈍くなる、水面や底でぐったりしている
- 皮膚に赤み、白い綿状のもの、ただれ、出血が見られる
- 体が膨らんでいる(浮腫・むくみ)
- 水面に浮いたまま沈めない
- 手足や尾に壊死のような変色が見られる
こうした症状は複数重なって現れることも多いため、普段からイモリをよく観察する習慣を持つことが早期発見の鍵となります。
アカハライモリの代表的な病気と症状

水カビ病(水生菌症)
どんな病気か
水カビ病は、アカハライモリが発症する皮膚病の中でも特に多く見られる病気のひとつです。
水中に常在するミズカビ(Saprolegnia属など)が、免疫力が低下したイモリの皮膚の傷などに感染することで発症します。
主な症状
体表に白い綿毛状・モヤのかかったようなものが付着しているのが特徴的な症状です。
放置すると感染が広がり、皮膚が壊死して深刻なダメージを与えます。
原因と誘因
水質の悪化、水温の急変、過密飼育によるストレス、外傷などがきっかけで発症しやすくなります。
フィルターの目詰まりや換水不足によってアンモニア・亜硝酸濃度が高まった水槽環境は、水カビ病のリスクを著しく高めます。
治療と対処
軽度であれば、清潔な水への換水と飼育環境の改善だけで回復するケースもあります。
感染が広範囲に及んでいる場合は、動物病院で抗真菌薬による薬浴などの処置を受けることが必要です。
赤足病(レッドレッグ)
どんな病気か
赤足病は、アエロモナス菌などの細菌感染によって引き起こされる病気で、両生類全般に見られる深刻な疾患のひとつです。
「レッドレッグ」という名称の通り、四肢や腹部の皮膚が赤くただれたようになるのが最大の特徴です。
主な症状
四肢・腹部・腹面の皮膚が充血して赤みを帯び、出血斑が現れます。
症状が進行すると皮膚が壊死し、食欲廃絶、衰弱と急速に悪化するため、早期発見と迅速な対応が不可欠です。
原因と誘因
水質汚染が最大の原因です。
ろ過能力が不足した水槽で糞や食べ残しが蓄積すると、アエロモナス菌が爆発的に増殖しやすくなります。
また、皮膚に傷がある状態で不衛生な水に接触することも、感染の大きな引き金となります。
治療と対処
赤足病は自然治癒が難しく、重症化する前に必ず動物病院へ連れて行くことが推奨されます。
抗生剤の投与や薬浴による治療が一般的です。
水槽は完全にリセットし、原因となった水質問題を根本から解決することが再発防止の大前提となります。
ツボカビ病(カエルツボカビ症)
どんな病気か
ツボカビ病は、Batrachochytrium dendrobatidis(Bd)という病原性の真菌(カエルツボカビ)が感染することで発症する病気で、世界的に両生類の大量死・絶滅の原因として問題視されている非常に危険な感染症です。
環境省はカエルツボカビ症をOIE(国際獣疫事務局)の対象疾病であり、かつIUCN(国際自然保護連合)の外来生物ワースト100にも掲載される感染症として認定しており、国内での分布状況を継続的に調査・監視しています。特に、ペットとして流通する海外産の両生類から2006年に国内で初めて感染が確認された事例があることから、輸入個体との混合飼育には細心の注意が求められます。(参考:環境省「両生類等の新興感染症について」)
日本国内のアカハライモリにおいても感染リスクがゼロではなく、特に海外から輸入した両生類との混合飼育をしている場合は注意が必要です。
主な症状
皮膚の肥厚・脱皮不全・ただれ、無気力、食欲不振、異常な姿勢(横倒しになるなど)が主な症状として挙げられます。
外見の変化だけではわかりにくい場合もあり、確定診断には動物病院でのPCR検査や皮膚の病理組織検査が必要です。
原因と感染経路
汚染された水、感染した生体との直接接触、共用器具などを通じて広がります。
野外から採集したイモリを既存の個体と同居させる場合は、必ずトリートメントを行うことが大切です。
治療と対処
ツボカビ病の治療は抗真菌薬(特にボリコナゾールやイトラコナゾールなど)を用いた薬浴が中心となります。
環境省の実態把握調査報告書でも、イトラコナゾールによる薬浴プロトコルが有尾類(イモリ類)においても有効であると記載されており、治療・除菌に成功した国内事例が報告されています。(参考:環境省「平成20年度 カエルツボカビ実態把握調査検討業務報告書」)
ただし使用にあたっては必ず獣医師の処方・指示に基づくことが前提です。飼育者が独自に対処しようとすることは難しいため、両生類の診療経験がある動物病院への相談が必須です。
浮腫病(むくみ・腹水症)
どんな病気か
体が異常に膨らんで風船のように腫れる状態で、腹水や皮下に体液が貯留することで起こります。
細菌感染、内臓疾患、腎機能の低下など、複数の原因が考えられる病気です。
主な症状
体全体または一部がパンパンに膨れ上がり、特に腹部が著しく肥大します。
動きが緩慢になり、水中でバランスを取ることが難しくなるケースもあります。
原因と誘因
水質悪化による細菌感染、栄養バランスの偏り、慢性的なストレスなどが原因として挙げられます。
また、老齢のイモリでは内臓機能の低下から発症しやすくなる傾向があります。
治療と対処
軽度であれば水質改善や環境のリセットで軽快することもありますが、中程度以上の膨らみが見られる場合は早めに動物病院を受診することを強くお勧めします。
獣医師の判断によって、穿刺による体液の排出や抗生剤の投与が行われることがあります。
拒食・食欲不振
どんな状態か
拒食そのものは「病名」ではありませんが、多くの病気や環境問題のサインとして現れるため、単独の項目として取り上げます。
アカハライモリは環境変化に敏感で、引っ越し直後や水温の変化、換水直後などに一時的に食欲が落ちることがあります。
問題になるケース
数日の拒食であれば様子を見ることも可能ですが、1〜2週間以上食べない、あるいは痩せが目立ってきた場合は、何らかの疾患が潜んでいる可能性が高いです。
内部寄生虫感染、消化器系の問題、口腔内の炎症なども拒食の原因となりえます。
アカハライモリの病気と寿命の関係

適切な飼育環境が寿命を左右する
アカハライモリの寿命は、適切な環境下では10〜25年以上とも言われており、両生類の中でも非常に長命な生き物です。
しかし、この寿命を全うするためには、病気の予防と早期治療が欠かせません。
水質管理が不十分な環境で慢性的にストレスにさらされると、免疫力が低下してさまざまな病気にかかりやすくなり、結果として寿命を大幅に縮めてしまいます。
老齢イモリと病気
10年を超えたイモリは老化による免疫力の低下が起き始め、若い頃にはかからなかったような病気も発症しやすくなります。
老齢個体には特に丁寧な水質管理と、食欲・排泄・皮膚の状態を細かくチェックする習慣が重要です。
アカハライモリの病気の予防法

水質管理が最重要の予防策
アカハライモリの病気の大多数は、水質悪化が根本的な原因であると言っても過言ではありません。
十分なろ過能力を持つフィルターを使用し、定期的な部分換水(目安として週に1回、全水量の1/3程度)を欠かさないことが基本中の基本です。
アンモニア・亜硝酸・硝酸塩の各値を定期的に測定し、異常値が検出された場合は速やかに対処してください。
水質改善剤(コンディショナー)を適切に使用することも、水質の安定化を助けるうえで有効です。
また、水槽内に紫外線殺菌灯(UVランプ)を設置することで、水中の病原菌や真菌の量を物理的に減らし、感染リスクを下げることができます。
殺菌灯は病気の特効薬ではありませんが、水質管理の補助ツールとして非常に有効なアイテムのひとつです。
適切な水温管理
アカハライモリは高水温に弱く、25℃を超える状態が続くと免疫力が著しく低下します。
夏場は冷却ファンやクーラーを活用して、水温を20〜23℃程度に保つことを意識してください。
急激な水温変化も大きなストレスになるため、換水時は水温を合わせてから行うことが大切です。
新規導入個体のトリートメント
野外採集個体や別の飼育者から譲り受けた個体には、ツボカビ病をはじめとするさまざまな病原体が潜伏している可能性があります。
既存の個体と同じ水槽に入れる前に、必ず別容器で2〜4週間程度の隔離観察(トリートメント)を行いましょう。
この期間中に異常が見られなければ、既存個体との同居を検討できます。
なお、アカハライモリは環境省のレッドリストにおいて準絶滅危惧種(NT)に指定されている日本固有の生き物です。生息地の減少や乱獲による個体数の減少が続いており、野外採集は地域によって法的な制限が課される場合もあります。飼育個体を適切に管理し、野外へ放流しないことは、個体の健康管理と同時に在来生態系の保護にも直結する重要な責任です。(参考:環境省レッドリスト2020「両生類(有尾目)」)
過密飼育を避ける
過密な環境は水質悪化を加速させるだけでなく、個体間のストレスや接触による感染リスクも高めます。
アカハライモリは縄張り意識が強くはありませんが、一般的には60cmの水槽で3〜4匹程度を目安とし、余裕を持ったスペースで飼育することが理想です。
アカハライモリが病気になったら動物病院へ
両生類を診られる病院を事前に探しておく
アカハライモリをはじめとする両生類は、犬猫と異なり、診療できる動物病院が限られています。
「両生類 動物病院 ○○(地域名)」のようなキーワードで事前に検索し、かかりつけ医を見つけておくことが非常に重要です。
病気が疑われてから病院を探し始めると、その間に症状が悪化してしまうことがあるため、健康なうちに受診できる病院を確認しておく「備え」が命を守ることにつながります。
受診時に用意するもの・伝えること
動物病院を受診する際は、以下の情報を事前にまとめておくとスムーズです。
- 飼育を始めてからの期間
- 飼育環境の詳細(水槽サイズ、フィルターの種類、水温、照明など)
- 最後に餌を食べた日と食べている餌の種類
- 症状が現れ始めた時期と経過
- 直近での換水・新規個体の導入・レイアウト変更などの有無
症状が出ている個体を安全に持ち運べる容器に入れ、水温が急変しないよう工夫して連れて行きましょう。
自己判断での薬浴のリスク
市販の魚用薬品や民間療法をイモリに使用することは、かえって状態を悪化させるリスクがあります。
アカハライモリは皮膚呼吸を行っており、薬品に対して非常に敏感です。
自己判断での薬浴は避け、必ず獣医師の指示に従って治療を行うことを強くお勧めします。
まとめ
アカハライモリがかかりやすい代表的な病気には、水カビ病、赤足病、ツボカビ病、浮腫病などがあります。
これらの多くは、水質の悪化が直接の引き金となって発症するため、日常的な水質管理と適切な飼育環境の維持が、最大の予防策と言えます。
水質改善剤の活用や殺菌灯の導入も、病気のリスクを下げるうえで効果的な手段です。
アカハライモリは適切なケアさえ行えば、10年・20年と長く生きる生き物です。
愛するイモリの寿命をまっとうさせてあげるためにも、日々の観察を欠かさず、少しでも異変を感じたら早めに両生類を診られる動物病院へ相談することを忘れないでください。
この記事が、アカハライモリの病気に悩む飼い主の方にとって、信頼できる情報の入口となれば幸いです。
各症状の詳細な解説や具体的な対処法については、それぞれの個別記事でさらに詳しくご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。

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